マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方

著者小川共和氏。小川事務所代表。東京大学文学部仏文科卒業後、電通に入社。本社マーケティングソリューション局次長、電通イーマーケティングワン(現電通デジタル)専務取締役等を経て小川事務所を設立。現在、株式会社マルケト顧問、株式会社ロックオン顧問、福島県庁観光交流局のマーケティング顧問を務める。内容(amazonより)本書におけるカスタマージャーニー作成の目的ひとつは「マーケティングオートメーション(MA)にそのまま落とせて、施策の大半を自動実行できるようにするための設計図になる こと」であり、もうひとつは「最後の勝負所であるコンテンツ企画をスムーズかつパワフルにする設計図にすること」です。マーケティングオートメーション(MA)というITツールで自動実行可能なカスタマージャーニーを描き、PDCAを回せるために、その作成方法を体系的に紹介する一冊です。感想マーケティングオートメーション(MA)ツールに落とし込むか否かに限らず、対象となる顧客の行動をステップに分解し、次のステップに移るマインドの変化を分析する。そしてそのマインドを変化してくれるような施策を提供するというのがマーケティング(最適化アクション)のベーシックなところである。本書はこのマインドの変化を「パーセプションチェンジ」という言葉で表現。そして電通のコミュニケーション戦略立案の1つの考え方である、TP...

「ゆるんで、いいよ。」

ビターズ(キリンビール株式会社)と言えばチューハイ事業部の謀反(「『とりあえずビール』から『とりあえずチューハイ』へ」)のイメージが強かった。どちらかと言うと若年層の酒(ビール)離れを背景にビールよりは苦くないチューハイよりは甘くないアルコール飲料のイメージだ。(CMに出演していたのは濱田岳さん)ただ、ふと電車の中吊り広告に目をやると石田ゆり子さんらしい大人の優しい感じで「ゆるんで、いいよ。」と語りかけている。ビターズのターゲット層が若年層に問わず広くなったのか、と感じた。広告を見るに、晩酌をイメージしているようだ。晩酌といえば、一定より上のレイヤーではチューハイ誕生のタイミングもあって、やはり、ビールが強かった。ただ、税金があがったり洋食の世代が上の世代になったり伝統に肩肘張らない時代になったりアルコールも強く1本で済んで食事に合っておしゃれな合理的な飲み物に徐々にシフトしているのかもしれない。「『とりあえずビール』から『とりあえずチューハイ』へ」に移行するには、若者じゃなく、その上を説得しないといけなかったってことかもしれないですね。

広告は昔から論理的である

今、どんなインターネットメディアを見ていても「あなたにおすすめ」といったバナーが表示される。過去の閲覧履歴等によって、ユーザーにとって最適であろうバナーが表示されているものだ。最近はクリエイティブまで最適化されて表示されるようになった。広告が人間的なものから、機械的なものになってきたといえる。ただそれは、生み出す主体がそうなっただけであり、広告表現は昔から極めて論理的(機械的)に生み出されてきた。広告主にどのような課題があり、消費者にどんな課題があり、それをどのように繋ぎあわせるかを緻密に検討したものである。そしてそれを言葉で表したものがキャッチコピーだ。コピーライターという職業は「何となくクリエイティブ」な仕事だと、私は思っていた。違った。コピーは、コピーライターによって「何となく」を極力排除して生み出されつつ、消費者によって「何となく」心を動かすように伝えられる。面白い。